「ミズタニシザーズ」というハサミメーカーを知っているだろうか?
このメーカーのハサミは海外からの評価も高く、外国のバーバーなど、こだわりの強いプロがみな使っている。
今回は、実際にミズタニシザーズを使っているアパッシュのオーナー川上昌博と、アパッシュ大町店所属の西恭兵に、ミズタニの魅力について語ってもらった内容を記事にした。
今後のハサミ選びの参考にしてもらえるとありがたい。
世界中から愛されるハサミブランド「ミズタニシザーズとは」
ミズタニシザーズは、日本を代表するハサミメーカーのひとつだ。
1921年創業、100年以上「質にこだわったハサミ」を作り続けている。
ミズタニのこだわりは、素材と職人技だ。
ミズタニのハサミには、鋼材が硬いという特徴がある。これにより、毛先をしっかり切ることができるだけでなく、研いでも摩耗しにくく、一生モノとして長く使える。
ハサミは一つ一つ職人の手によって作られている。世代を超えて育まれ受け継がれている職人の技術だからこそ、いつまでも長く使える質の高いハサミが実現しているのだ。
ミズタニはバーバーカルチャーとの関わりが深く、世界的に有名なオランダのバーバー「SCHOREM」とのコラボしたハサミを展開している。
また、海外のトップレベルのスタイリストを招待したカットショー「WORLD CUT JUM」を開催するなど、国外まで活動を広げているハサミメーカーでもある。
アパッシュ川上が語るミズタニシザーズの魅力「極限まで突き詰めた職人技がハサミに宿っている」
アパッシュのオーナーである川上昌博に、ミズタニシザーズの魅力について聞いた。
川上のミズタニシザーズとの出会いは、「ハサミのショーケース探し」だったと言う。
もともとバーバーで使うひとつの道具として、ハサミが大好きだった。
スタイリストが使うハサミというのは1本10万円単位の品物で、当時の川上は、そういった高価なものを単純に道具箱にしまっておくことに抵抗を感じていた。
ジュエリーをケースにディスプレイするように、ハサミ専用のケースがあればいいと思い、いろんなハサミメーカーやディーラに問い合わせてみた。
しかし、どこもそんなケースは取り扱ってはいなかったと言う。
そんな中で、世界各国にシェアを持つミズタニシザーズなら、手がかりがあるかもしれないと思い、千葉県松戸市にあるミズタニの工場まで足を運び、直接ミズタニの社長に会いに行ったのだ。
ハサミに対するこだわりを強く語ったところ、社長と意気投合し、そこからミズタニシザーズとの関係がスタートした。
その後、川上はアメリカのバーバーとしての憧れの存在であり、親交を持つドニー・ハーリーをミズタニに紹介したエピソードがある。
ドニー・ハーリーは、世界的なポマードブランド「RAYLITE(レイライト)」の創業者だ。
日本にバーバーのカッコよさを広めてほしいと、日本に彼を連れてきた時、川上はハーリーが持つハサミのコンディションが良くないことに気づく。
アメリカのバーバーは、カットのほとんどをクリッパーで済ませているので、日本に比べてハサミの重要性はそこまで高くないのだ。
せっかく日本に来てくれたのだからと思い、ミズタニにドニーを連れていった。
ドニーがどれほどカッコいい人物なのかを語ったのち、ハサミを提供してくれないかと頼み、彼専用のハサミを作ってもらった。
これをきっかけに、ミズタニシザーズと川上の関係はより一層深まっていき、現在では、ミズタニは川上のスポンサーとなり、川上はミズタニのハサミの開発にも携わっているほど、関係が深いものになっている。
ミズタニシザーズの魅力
川上が語るミズタニシザーズの魅力は、「日本人の職人技」にあると言う。
ハサミは「刃物」であり、職人の世界。ただ機械で鉄を切って作っただけじゃハサミの性能を生み出すことはできない。
ミズタニシザーズは、品質が良く長持ちする「日本の刃物」として世界中に知ってもらおうというスタンスを確かなものにしているメーカーだ。
実際に川上がミズタニを使うようになったきっかけは、海外のニオイを感じたからだと語る。
ドイツなど、海外には良い鋼材を持つ国は多くある。しかし、「職人」という最終的な仕上げの部分が育たないことで、本当に質の良いハサまでには至らないことが多いのだ。
繊細なところまで追求できるのは、極限まで突き詰める精神を持つ日本人のシゴトであり、そういった職人が育つ環境は、日本独自の文化と言えるかもしれない。
ミズタニのそのような職人的な魅力は海外から多くの支持を集め、多くの国で使用されている。
西が語るミズタニシザーズの魅力「買ったあとも現場の声と職人技が噛み合うハサミ」
アパッシュ大町店所属の西恭兵に、ミズタニシザーズの魅力について聞いた。
西のミズタニシザーズとの出会いは、オランダのバーバー「SCHOREM(シュコーラム)」のシグネチャーモデルのハサミが発売された時だったと言う。
SCHOREMは、世界的なポマードブランド「REUZEL(ルーゾー)」を展開しており、世界中に名が行き渡るバーバーショップである。
西にとって、SCHOREMはバーバーのヒーロー的な存在であり、憧れだったと語る。
もともとは他のメーカーのシザーを使っていたが、このSCHOREMとのコラボシザーの登場があり、彼らの真似をするような感覚でミズタニを使い始めた。
ミズタニシザーズの魅力
ミズタニシザーズの魅力は、「値段と性能のバランス」にあると西は語った。
ミズタニのハサミを買うとしたら物によっては6〜7万円で手に入るが、同じグレードのハサミを他のブランドで買うと10万を超える。
他のメーカーの20万を超えるハサミを見ても、10万円弱のミズタニのハサミより2倍優れているとは思えないと言う。
また、ミズタニのハサミは、他のメーカーと比べてもバリエーションの数が圧倒的に多いところも強い魅力のひとつ。
初めてミズタニのカタログを見たとき、あまりに多くの種類のハサミが載っていることに驚いたと言う。
そして、ミズタニシザーズは、全体的なアフターケアの体制が整っているところも、愛用する理由のひとつだと語る。
研ぎに出す時には、前回はどんな研ぎの内容だったか記載されたカルテが届く。
「刃先まで逃げずにパツパツ切れるように」といった、研ぎに関するリクエストにも柔軟に対応してくれる。
このように、値段と性能のバランスやバリエーションの豊富さ、アフターサポートを考えると、ミズタニシザーズは、ハサミの世界にエントリーしやすく、長い年月を使うことができるのだ。
まとめ
今回は、ミズタニシザーズの魅力について、実際に使っているアパッシュのメンバーの言葉を紹介した。
新しいハサミとの出会いを探していたり、スタッフに質の良いハサミを支給したいと考えるバーバーやサロンの方は、是非問い合わせてみてほしい。